仮想通貨(暗号資産)の確定申告書の作成から提出、税務調査への備えまで【2026年版】|コラム
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2025.09.25
仮想通貨
仮想通貨(暗号資産)の確定申告書の作成から提出、税務調査への備えまで【2026年版】
執筆:大見税理士事務所|東京都目黒区・世田谷区・自由が丘/相続・暗号資産・法人税務に強い税理士。
この記事の要点を先にお伝えします。
仮想通貨の利益は雑所得として確定申告書に記載し、翌年2月16日から3月15日までに提出・納付します。
申告書はe-Taxを使えば自宅から提出でき、計算は国税庁の作成コーナーが自動で行ってくれます。
そして、申告後に待っている可能性があるのが税務調査です。
この記事では、申告書の作成から提出、調査への備えまでを一気に整理します。
はじめに
取引履歴の準備と損益計算が終わったら、次はいよいよ確定申告書の作成と提出です。
このページでは、実際の確定申告書の作成方法と提出手続き、さらに税務調査の実態や対応策まで一気に整理します。暗号資産の取引は複雑化しやすいため、正確な申告と適切な備えが重要です。
準備段階(取引履歴や必要書類の集め方)については、暗号資産の確定申告の準備を解説した記事を先にお読みください。
1. 申告書の種類と必要書類
仮想通貨取引の利益は原則「雑所得(所得税法35条)」として申告します。以前の書式は確定申告書AとBがありましたが、現在はそのような区別はなくなっています。
確定申告書 税務署等で入手できる確定申告書。
収支内訳書 白色申告で事業所得として申告する場合に必要です。
青色申告決算書 青色申告の場合に必要です。事業的規模と認められれば損益通算や青色申告特別控除が可能です。
2. 申告書の記載方法
雑所得欄への記載
年間の取引損益をまとめ、「雑所得(その他)」の欄に記載します。
所得控除の記載
基礎控除(所得税法86条。税制改正により引き上げられ、令和8年分は所得の水準に応じて最大95万円)、社会保険料控除、生命保険料控除などを忘れずに入力します。
納付額の計算
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、自動計算されます。
3. e-Taxの利用方法
国税庁のe-Taxは、自宅から申告できる便利な制度です。
マイナンバーカード方式 カードリーダーまたはスマホで認証。
ID・パスワード方式 e-Taxで事前発行。
入力後はそのまま電子送信するか、PDFを印刷して郵送・窓口提出も可能です。
4. 申告期限と納付方法
申告期間 毎年2月16日~3月15日(休日の場合は翌営業日)。
納付方法
金融機関や税務署窓口
クレジットカード納付
ダイレクト納付(口座振替)
期限に遅れると延滞税(国税通則法60条)や無申告加算税(同法66条)が課されるため、必ず期限内に提出しましょう。
5. よくある申告ミス
海外取引所の取引を申告漏れにする
損失を繰越できると誤解(雑所得は原則不可)
住民税の普通徴収を選ばず、副業が勤務先に知られる
初めて申告する方向けの全体の流れは、仮想通貨の確定申告のやり方を解説した記事でも説明しています。
▼ 申告書の作成に不安がある方へ:損益計算から提出まで一括でお任せいただけます
6. 税務調査が行われる背景
暗号資産の取引は海外取引所やDeFi、NFT取引など多様化しています。正しい税額が納められているか、申告はされているか確認をするために税務調査は行われています。
職務質問と同じで、自分がターゲットになると時間も労力もかかり負担が大きいですが、税務調査がないと脱税ばかりの世の中になり正しい申告をする納税者がいなくなってしまうので普段正しい申告をしている人ほど、制度の維持のため税務調査が必要です。
あくまでも私たち納税者が自分で税額を計算して申告をするという申告納税制度を維持するために必要な大事な制度です。
7. 税務調査の流れ
事前通知 通常は電話や文書で通知。
調査当日 帳簿・取引履歴・ウォレット履歴などを確認。
指摘事項の提示 申告漏れ・経費計上誤りなどを確認。
修正申告または更正処分 必要に応じて追加納税や加算税が課されます。
当事務所が実際に立ち会った調査の現場の実態は、仮想通貨の税務調査は5年分まとめて来ることを実体験から解説した記事で詳しく紹介しています。
8. 税務調査で多い指摘事項
指摘されやすいポイント・課税対象が見落とされやすいパターン
仮想通貨同士の交換(ビットコインを売ってイーサリアムを買う等) 単に日本円に換金していないから税がかからないと思っていたが、交換についても利益が出ている場合は確定申告が必要になります。ビットコインを売却してそのお金でイーサリアムを購入したという判断となりビットコインの売却に該当します。
仮想通貨を使った決済 仮想通貨で商品・サービスの支払いをした場合、支払いの時点でビットコインを売却し、その円で購入したという扱いとなり利確になります。
海外取引所・国外ウォレットの未申告 国内取引所だけではなく、国外取引所を使っていたり、国外ウォレットに仮想通貨を保有していたりするケースで「申告漏れ」「所在不明な資産」がよく指摘されます。取引所の2段階認証の登録を見られたりして発覚することが多いです。
取引履歴の管理不備 年をまたいでの取得日時、取得価額・売却価額の記録不備、手数料等コストの記録が雑、履歴データの保存をしていない等。調査時にこれらの資料を提示できないと追徴されやすい。
匿名性・分散性の利用 ブロックチェーン上の取引は記録されているが、ウォレットがプライベートであったり、DEX(分散型取引所)を通じた取引などで「誰がどの取引をしたか」を特定するのが難しい。ただし、国税庁などの調査部隊でも一定の分析技術・情報収集手段を持っているので隠すことはせず正しい申告をしましょう。
9. 調査に備えるポイント
取引履歴をすべて保存(CSV・スクリーンショット)
入出金の証憑(銀行通帳・ウォレット履歴)を残す
NFTやエアドロップの入手日・時価を記録
税理士に定期的に相談し、計算を確認
すでに税務調査の連絡が来てしまった方、無申告の年がある方は、対応の流れを仮想通貨の税務調査のご案内ページでご確認ください。
10. まとめ
仮想通貨の確定申告は「正確な利益計算」と「期限内の提出」が大前提です。さらに税務調査では取引履歴の不備や海外取引の申告漏れが大きなリスクになります。準備・申告・調査対応を実践すれば、安心して仮想通貨投資を続けられるでしょう。
利益が大きく毎年続く見込みの方は、法人化という選択肢もあります。判断の基準は暗号資産で稼いだら法人化すべきかを解説した記事で詳しく説明しています。
当事務所では、暗号資産の損益計算の代行から申告書の作成・提出、書面添付制度の活用、税務調査への対応まで一括でお受けしています。
初回のご相談は無料です。
▼ 暗号資産の確定申告・税務調査の無料相談はこちらから
用語の意義
雑所得 所得税の10分類のうち、他のいずれにも当てはまらない所得。暗号資産の利益は原則ここに分類。根拠は所得税法35条。
事業所得 反復継続・独立して営む事業から生じる所得。暗号資産の取引でも実態が事業的規模なら事業所得になり得る。根拠は所得税法27条・施行令63条。
確定申告期間(第三期) 原則、翌年2月16日~3月15日。根拠は所得税法120条。
基礎控除 すべての納税者に適用される所得控除。根拠は所得税法86条(年分や合計所得金額により金額が異なります)。
所得控除 課税所得計算の前に差し引ける控除の総称(基礎控除・社会保険料控除・生命保険料控除など)。※各控除に所定の条文があり、基礎控除は86条。
確定申告書 税務署等で入手可能。
青色申告決算書/収支内訳書 事業所得等がある場合に添付する決算書類。青色申告なら青色申告決算書、白色申告なら収支内訳書を提出します。
e-Tax 国税の電子申告・納税システム。マイナンバーカード方式、またはID・パスワード方式で利用。
ID・パスワード方式 事前の届出で発行されるIDでログインするe-Taxの認証方式。税務署での本人確認またはマイナンバーカード経由で取得可能。
ダイレクト納付(口座振替) e-Taxから金融機関口座を指定して即時または期日指定で納付できる方式。
クレジットカード納付 専用サイトでクレジットカードにより国税を納付する方法(手数料がかかる・窓口では不可)。
延滞税 期限までに完納しない場合などに発生する利息的性格の附帯税。国税通則法60条。
無申告加算税 期限内に申告しなかった場合に賦課される加算税。国税通則法66条。
申告納税方式(申告納税制度) 納税者自らが税額を確定して申告する方式。
修正申告 提出済み申告を納税者が自ら修正する手続。国税通則法19条。
更正(更正処分)/決定 誤り等がある場合に税務署長が職権で税額等を訂正し、無申告時は決定を行う処分。国税通則法24条・25条。
税務調査 通則法上の質問検査権・事前通知・調査結果の説明等の枠組み(74条の2〜6、74条の9〜11 関係通達)。
仮想通貨同士の交換の課税 円に換金していなくても、暗号資産の交換は譲渡に当たり課税対象。
暗号資産による決済 商品・役務の支払時点で暗号資産を譲渡したものと扱われ、差益があれば課税対象。
海外取引所・国外ウォレット 国外管理であっても日本の居住者の所得課税対象に含まれるため申告必要。
住民税の普通徴収 給与からの特別徴収ではなく、本人が納付書や口座振替で直接納める方式。
出典
所得税法第35条(雑所得)・第27条(事業所得)
所得税法第86条(基礎控除)
所得税法第120条(確定所得申告)
国税通則法第19条(修正申告)・第24条(更正)・第25条(決定)
国税通則法第60条(延滞税)・第66条(無申告加算税)
国税通則法第74条の9(納税義務者に対する調査の事前通知等)
国税庁 「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」
国税庁 確定申告書等作成コーナー
令和7年度税制改正(基礎控除の見直し)
※本記事は制度の概要を一般向けにわかりやすく整理したものです。細部の要件や例外については割愛しております。個別事情により取扱いが異なる場合がありますので、詳細は税理士へご相談ください。2026年9月現在の法令に基づいています。
執筆者 税理士 大見 光男
税理士登録番号 156268/東京税理士会所属
大見税理士事務所 東京都目黒区・世田谷区・自由が丘 相続・暗号資産・法人税務に強い税理士
略歴
1982年 東京都大田区・六郷土手にて生まれる
2004年 日本大学卒業
2013年 大田区の会計事務所にて、中小法人・医業・不動産所得の申告・節税対策を担当
2017年 税理士登録。大見光男税理士事務所を開業
2018年 著書『だいたい3分でわかる仮想通貨の税金の話』(ぱる出版)を出版
2022年 病気療養のため一時休業
2025年 税理士に再登録し、「大見税理士事務所」を再スタート
保有資格
税理士(税理士登録番号 156268)
セミナー
サンワード貿易株式会社 仮想通貨税金セミナー(2019年10月)
仮想通貨節税セミナー「法人化のメリット・デメリット」(2018年10月)
サンワード貿易株式会社「知っていると知らないとじゃ大違い!!」仮想通貨税金セミナー(2018年10月)
一般社団法人日本マイニング協会主催 節税が投資につながる?!プロに聞く!暗号通貨投資と節税セミナー(2018年8月・9月・10月)
税理士による仮想通貨の確定申告セミナー(2018年1月)
取材
株式会社KADOKAWA「ASCII.jp」取材(2018年2月)
税理士ドットコム 取材(2018年10月)
書籍・寄稿
『税経通信』1月号 特集(税務経理協会)「仮想通貨の基礎知識と所得計算実務」(2018年12月)
『だいたい3分でわかる仮想通貨の税金の話』(ぱる出版)(2018年10月)

