ICOとは
仮想通貨で大きく利益を得る方の多くはICOに参加していますよね、平成29年は多くのICOが実施され利益を獲得したかたのご相談も多かったです。ICOの税務上の考え方は平成30年3月28日現在で国税庁から指針がでていないため平成29年の確定申告でもお困りの方は多かったのではないでしょうか?
ICOとはイニシャルコインオファリングとよばれ、企業が仮想通貨をつかって資金調達をする仕組みになります。いままでであれば株式などを利用して資金調達するのが普通ですがかなりのハードルがあるため利用できる企業はほんの極わずかでした。しかし仮想通貨を利用すればごく簡単に資金調達ができるということで爆発的に増加しました。もちろんICOは良いもの、悪いもの(詐欺的なもの)が乱立しているため気軽に投資できるものではありませんが、仮想通貨で大きく利益を得た方は大抵ICOに参加していることが多かったです。
ポイント
さて、税金を計算する上での考え方としては3つのポイントがあります。
- 企業が独自に発行するトークン(仮想通貨)は市場価格がないため0円。
- 仮想通貨間の交換は課税の対象となると国税庁からの指針がでています。
- 仮想通貨は銘柄毎に損益の計算をします。
上記から考えると
ICOに参加するときには大抵ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などで出資することが多いです。今回は1ビットコイン(BTC)を出資してその見返りとして10,000トークンを得たとしましょう。ビットコイン(BTC)の購入原価は100万円とします。参加したときのBTCの時価は150万円とします。
トークンとは繰り返しますが「仮想通貨」ですから、仮想通貨間の交換になるため税務上では損益が発生することになります。
ビットコイン(BTC)の雑所得計算
100万円でBTCを購入しており150万円のときにICOに参加しているときは1BTCを売却して150万円手に入れて、その150万円を使って10,000トークンを手に入れたと考えます。
よって、150万円の売却収入となり購入費用が100万円のため差額の50万円がビットコインの利益となります。
ビットコイン(BTC)の課税関係はこれで終了です。
独自のトークンの雑所得計算
ビットコインを売却して10,000トークンを購入しています。この時10,000トークンは0円の価値ですがここで購入原価は1,500,000円と考えます。1枚あたりで考えると150円の平均単価になります。
その後そのICOが詐欺的なもので上場せず価値が0円のままであればそのまま損で支払った額が費用となります。売却しないと損失が確定しないのですが減損や評価損の検討の余地があると考えます。
幸運にも企業独自のトークンがどこかの取引所に上場して市場価格がでたとします。市場価格がでたときも売らずに寝かせていれば課税関係はありません。
市場価格が仮に1トークンが1,000円になったとして、全て売却したと仮定すると。
ICOに参加して10,000トークンを得ていますから、全て売却すると10,000,000円です。よって売却収入10,000,000円です。
必要経費については市場価格が1,500,000円のときに購入していますから10,000,000-1,500,000で8,500,000円が雑所得となります。
トータルでは
ビットコインと独自トークンのトータルで考えるとBTCの利益と独自トークンの利益でトータルは9,000,000円の雑所得です。1BTC100万円が10,000,000円に変わったので実態とも即していますね。
以上がICOの税務上の考え方となります。BTCと独自トークンを「交換」と考えずに「出資」と考えるかたもいらっしゃいます。それはそれで妥当性もありますのでどちらが正しいというものでもありません(法律がないので正解もないです)