仮想通貨の運用を法人でおこなうメリットについて前回解説させて頂きました。今回はデメリット編となります。
利確が必要(検討の余地あり)
個人と法人は社長が自分であっても別人格なので個人から法人へ資金を移す場合は利確となります。個人で持っている仮想通貨を一旦すべて売却して、円にした上で法人へ移し仮想通貨を同額で買い戻すということですね。個人の仮想通貨を法人へ貸し付ける方法を取れば利確なしでも問題ない意見もありますがリスクがでてくるのであくまでも個人から法人へ売却した取扱をするほうがリスクが低くなります。
いずれにしても今後仮想通貨界隈が上昇していくと思っているのであれば時価が低い今のうちに法人に仮想通貨を移すことが大事になってきます。
法律はないので絶対利確が必要とはいえませんのでリスクを承知のうえであれば別の選択肢も考えられます。
借入リスクがある
この記事をみている方の多くは会社員の方が多いと思いますが、法人を既に設立していてその法人で運用したいと思うかたもいらっしゃると思います。これは各金融機関で異なりますが今まで銀行などの金融機関とお話をしたところ決算書に仮想通貨勘定があると融資の評価が悪くなるそうです。まだまだ世間的には仮想通貨は投機として捉えられており融資した資金を仮想通貨への投資にまわされかねないので審査が多少大変になるリスクがあります。
もちろん借入を行う予定がない方はデメリットとはなりません。
維持費がかかる
法人は記帳の義務、申告の義務があります。個人の雑所得は記帳の義務がありませんし申告も税務署や無料相談会にいけば書き方を教えてくれます。しかし法人の場合は専門知識が必要になります。簿記だけでは不十分で税法独自の考え方があり書籍や税務署へいって教えてもらうだけではなかなか大変です。
記帳についても仮想通貨の仕訳はおそらくどの書籍を見ても書いてないかと思いますので自分で考える必要があります。
よって結局の所、税理士へ依頼することになり顧問料などがかかってきます。
そのほかにも当然ですが法人の設立には費用がかかります。司法書士に依頼すると合同会社の設立で15万円ほどかかってきます。
社会保険料の支払が増大する
法人は社会保険の加入が必須になります。役員が1人であっても給料(役員報酬といいます)が発生すれば社会保険料がかかります。この負担が重いです。
通常社会保険は会社員の方は2階建てと言われています。これは個人の方は自分の保険料を自分で払えばいいので自分の分だけということで1階層、法人の場合は会社が従業員の保険料を負担してくれるので自分が払う分と会社が負担する分の2階層なので2階建てと言われています。
要は社長だけであっても給料をもらう個人と法人での負担がでるので通常よりも負担感がでるということです。
役員報酬を0円にすれば社会保険料はかかりません。
税制改正の可能性
現時点での大見税理士事務所の見解としては税制改正で税率が20%になることはほぼないと思っています。しかし仮想通貨関係の法整備が思いの他早いのでもしかすると税率が20%になることも考えられます(とはいっても海外取引所の売買では雑所得の累進税率は変わらないと思いますが)。
税率が20%になれば法人よりも税率が低くなる可能性が高いので法人化するメリットがなくなります。
少なくとも平成31年は現状と変わらないのでこの1年半くらいは税率のメリットは受けることが出来ます。
しかしものは考えようで、個人の税率が有利になったら法人での運用をやめればいいだけですので大きなデメリットにはなりません。
デメリットについて主なものを解説させていただきましたが、1番のネックは個人での利確だと思います。法律がないので絶対こうするべきですよと言えないのが心苦しいですが現状合理的に考えると利確せざるをえません。しかし今後長期的に仮想通貨が発展していくという展望であれば時価の低い今のうちがオススメです。また、特に法人での運用についての指針のようなものも一切出ていないため今後なにかしらの指針がでるとひっくり返る可能性もあります。指針が出る前であれば問題ないので一考の余地はあると思います。