遺産分割に完全な平等はありません。
ご両親や自分が亡くなることを考えるのはいけないことでしょうか?不謹慎というかたもいらっしゃるかもしれません。しかし私は自身の経験から考えないといけないとアドバイスしております。
実際に起こった争族の一例
以下、私は孫の立場です。
私の祖父は大田区の西六郷で木工所を経営しておりました。時代の流れで廃業となり、祖父は残された自宅と作業場を解体し3階建てのマンションを建築いたしました。マンションを建てる際に祖父とおじが主導となって計画をしましたが祖母とおばと父は反対をしました。しかし祖父は家族の反対を押し切り大きな借金をしてマンションを建築いたしました。
その後祖父が亡くなり祖母がマンションを相続しました。そして残念ながら祖母も亡くなりました。
- 自宅は絶対に残したくない!
- マンションを計画したおじと、反対した私の父とおばの3人で遺産の分割の話しとなりましたが残念ながら争族となってしまいました。マンションには自宅があったのでおじ以外の全員は自宅を残したかったのですが感情的なこともあり、おじだけは長男に自宅を継がせたくなかったようでした。
- 泥沼の裁判
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何年も話し合いをしましたが(弁護士先生が相手のため本人とは話していませんが)理屈ではなく感情的なことも相まって解決の糸口はありませんでした。
結局は自宅の売却、兄弟間での絶縁という結果となりました。
- 遺言があれば回避できた
- 私がこのとき遺言の大切さを知っていればこのような結果とはなりませんでした。争族を回避する強力な武器が遺言です。遺産の分割に完全な平等はありえません。祖父も祖母も自宅を残したかったため、遺言で父に自宅を相続させる旨を記載し、その他の財産をおじとおばで分割すれば泥沼の裁判は防げたのです。さらに祖母の思いを実行に移す遺言執行人(遺言の内容通りに分割できるように取り仕切る人)を専門家に任せれば余計な感情も起こしにくいといえます。
- 不平等で我慢できなければ仕方がない
- 自宅と少額の現金だけであれば分割が難しいですし生前の同居の有無や学費の援助の有無や人によっては住宅の購入資金の援助があったりもします。または相続人の配偶者も不満をもつケースなどもあります。大きな金額の話しで多かれ少なかれ不平等なので我慢できなければ争族となってしまうのは仕方のないことです。
しかし遺言には自分の思いを文字として残すことができます
例えば父が妻である母に全財産を相続させる際、遺言にこのようなメッセージがあったらいかがでしょうか?本来であれば長男と長女は一定の金額を相続する権利があるとします。
「長男、長女、よく立派に育ってくれました。二人とも自立し、結婚もして私と妻はおじいちゃんとおばあちゃんになれました。ありがとう。これからも家族仲良く助け合い、暮らしていってください。
さて、どうやら私は妻よりも先に逝くことになりそうです。妻は私の死後は年金だけで暮らしていかなければなりません。自宅があるから住むのには困らないけども生活を考えると私が残すわずかな預貯金に頼らなければいけません。
どうか妻に遺留分減殺請求(遺産の一定額を遺言を無視して請求する権利)をしないでください。また、お母さんが病気になったり動けなくなったりしまった時はあなた達の力が必要です。見守ってください、2人がこの遺言を尊重し必ず納得してくれると信じております。どうかこの願い聞き届けてはくれませんか?」
不平等があったとしても上記のような思いが伝われば争族となる可能性は限りなく低くなります。故人の意志に反してまで争おうとはなかなか思いません。だから遺言書は必要なのです。
- 健康なうちに行動することが必要
- 先のことを考えるには「健康」であることが必要です。認知症や大病をしてしまうと相続対策をする方法が少なくなってしまいます。正常な判断ができるときに先のことを考えるからこそ「円満な相続」ができるのです。
- 税理士の仕事は財産を守ること
- 財産を守るためには亡くなってからでは遅いです。相続がはじまる前から少しずつ将来を考えて財産を守っていくお手伝いをさせて頂きます。親の世代は自ら遺言を残すように、子の世代は親に対して遺言を勧められるようにアドバイスをさせて頂きます。
当事務所は弁護士や司法書士など相続に必要な専門家とも連携をとっておりますので安心してご相談ください。