会社をたたむ費用と手続き|解散から清算までの流れと放置のリスクを税理士が解説|コラム
コラム
2026.08.22
税務顧問
会社をたたむ費用と手続き|解散から清算までの流れと放置のリスクを税理士が解説
執筆:大見税理士事務所|東京都目黒区・世田谷区・自由が丘/相続・暗号資産・法人税務に強い税理士。
事業をやめた会社を、そのままにしていないでしょうか。
売上はもうない。
動かしていない会社のために、毎年税金を払い続けるのはばかばかしい。
かといって、会社のたたみ方は誰も教えてくれないし、調べると難しそうな言葉ばかりが出てくる。
結局、何もしないまま何年も経ってしまった。
そんなご相談が、当事務所には数多く寄せられます。
結論からお伝えします。
会社は、放置しても消えません。
そして放置には、目に見えるコストと見えないリスクの両方があります。
この記事では、会社をたたむ手続きの流れと費用、放置した場合に何が起きるかを、東京都世田谷区の大見税理士事務所が初めての方にもわかるように解説します。
会社は「解散」と「清算」の2段階で消える
まず全体像です。
会社を消すには、大きく2つの段階があります。
1つ目が解散です。
株主総会で「会社をやめる」と正式に決めることで、これ以降、会社は営業活動ができなくなります。
2つ目が清算です。
売掛金を回収し、財産を売ってお金に換え、借金や未払金を支払い、残ったお金を株主に分配する。
この後始末をすべて終えて、最後の登記をした時点で、会社は法律上消滅します。
これを清算結了といいます(『会社法471条、475条以下』)。
ポイントは、解散を決めただけでは会社は消えない、ということです。
清算まで終えて、はじめて税金の負担からも解放されます。
手続きの流れと期間
標準的な流れは次のとおりです。
まず、株主総会で解散を決議し、後始末の責任者となる清算人を選びます。
多くの場合、社長がそのまま清算人になります。
解散の日から2週間以内に、法務局で解散と清算人の登記を行います。
次に、国が発行する官報という新聞に、会社を解散した旨の公告を載せます。
お金を貸している人などが名乗り出るための期間として、2ヶ月以上を確保することが法律で決められています(『会社法499条』)。
この2ヶ月は、どんな事情があっても短縮できません。
この待ち期間の間に、財産の整理と税務申告を進めます。
すべての支払いを終えて残った財産を株主に分配し、株主総会で最終報告の承認を受けたら、清算結了の登記をして完了です。
期間は、財産の整理がシンプルな会社で最短2ヶ月半から3ヶ月ほど。
不動産の売却などがあれば、その分長くなります。

かかる費用の目安
ご自身で手続きした場合の実費は、おおよそ8万円です。
内訳は、解散と清算人の登記にかかる登録免許税が39,000円、清算結了の登記が2,000円、官報公告の掲載料が3万円から4万円程度です。
これに、専門家へ依頼する場合の報酬が加わります。
登記を司法書士に、税務申告を税理士に頼むのが一般的な分担です。
事務所によって幅がありますが、全部合わせて30万円から50万円程度が相場と言われています。
当事務所では、提携の司法書士と連携し、登記から申告までまとめてお受けしていますので、費用の全体像を最初にご提示できます。
意外と知られていない「申告は最低2回」
会社をたたむとき、税務申告は1回では終わりません。
最低でも2回必要です(『法人税法74条』)。
1回目は、解散の日で区切った申告です。
事業年度の始まりから解散の日までをひとつの年度とみなして、解散の日の翌日から2ヶ月以内に申告します。
2回目は、清算がすべて終わったときの最後の申告です。
残った財産が確定した日の翌日から1ヶ月以内という短い期限で、しかもこの期限は延長が認められていません。
さらに、清算に1年以上かかる場合は、その間も1年ごとに申告が必要になります。
この申告の多さと期限の厳しさが、ご自身で手続きしようとした方がつまずく最大のポイントです。
期限に遅れれば、上乗せの税金がかかることもあります。
放置するとどうなるか
それでは、何もせず放置した場合はどうなるでしょうか。
まず、税金は止まりません。
会社が存在する限り、たとえ売上がゼロでも、法人住民税の均等割という税金が毎年最低7万円かかり続けます。
10年放置すれば70万円。
きちんとたたむ費用を、いつの間にか超えてしまいます。
次に、申告の義務も続きます。
2期連続で期限内の申告をしないと、青色申告の承認が取り消され、赤字を将来に繰り越せる特典などが失われます(『法人税法127条』)。
さらに、株式会社の場合、最後の登記から12年が経つと「みなし解散」という制度の対象になります(『会社法472条』)。
法務省が毎年秋に整理作業を行っており、通知に対応しないと、ある日突然、会社が解散したものとして登記されてしまいます。
みなし解散になっても清算の手続きと申告義務は残るため、問題の先送りにしかなりません。
放置は「何もしていない」ように見えて、実は毎年お金が流出し続け、義務違反が積み重なっていく状態なのです。
たたむと決めたら、決算月の前がチャンス
解散の日は、自由に選べます。
おすすめは、決算日に合わせて解散することです。
決算日と解散日がずれると、申告のための決算作業が1回余分に増えるためです。
タイミングの設計だけで、手間と費用を1回分減らせることがあります。
また、会社に借入金が残っている場合や、社長からの借入が大きい場合は、清算の進め方によって税金の結果が変わることがあります。
たたむと決める前の段階で、一度ご相談いただくのが結果的に一番の近道です。

まとめ
会社をたたむ実費は約8万円、期間は最短3ヶ月。
一方、放置すれば均等割だけで毎年7万円が消えていき、青色申告の取消やみなし解散のリスクも積み上がります。
数年放置するくらいなら、きちんとたたんだほうが確実に安く済むのです。
当事務所では、解散のタイミング設計から、解散・清算の税務申告、司法書士と連携した登記手続きまで、一括でサポートしています。
すでに何年も申告していない会社の後始末のご相談も、数多くお受けしています。
初回のご相談は無料です。
「今さら相談しにくい」という状態の方こそ、まずは現状をお聞かせください。
▼ 無料相談はこちらから
用語集
解散
会社の営業活動を正式にやめると決めることです。
株主総会の決議で行うのが一般的で、これだけでは会社はまだ消えません。
清算
解散した会社の財産や借金を整理し、残ったお金を株主に分けるまでの後始末のことです。
すべて終えると清算結了となり、会社が消滅します。
清算人
清算の手続きを行う責任者です。
小さな会社では、社長がそのまま就任するのが一般的です。
官報公告
国が発行する官報に、会社の解散を知らせる記事を載せることです。
債権者が名乗り出るために2ヶ月以上の期間を設けることが法律で義務付けられています。
均等割
会社が赤字でも、存在するだけで毎年かかる地方税です。
小さな会社の場合、年間7万円が最低額の目安です。
みなし解散
最後の登記から12年が経過した株式会社を、法務局が強制的に解散扱いにする制度です。
毎年秋に整理作業が行われています。
出典
法人税法第74条(確定申告)
法人税法第127条(青色申告の承認の取消し)
会社法第471条(解散の事由)
会社法第499条(債権者に対する公告等)
会社法第472条(休眠会社のみなし解散)
法務省 「休眠会社等の整理作業(みなし解散)について」
総務省 地方税制度「法人住民税」(均等割)
大見税理士事務所|東京都目黒区・世田谷区・自由が丘/相続・暗号資産・法人税務に強い税理士
執筆者は税理士 大見光男(税理士登録番号 156268、東京税理士会玉川支部所属)。
相続・暗号資産・法人税務を専門分野とし、13年以上のキャリアを有しています。これまで著書・セミナー・取材などを通じて専門知識を発信してきました。
本記事は、制度の概要を一般向けにわかりやすく整理したものです。細部の要件や例外については割愛しております。個別事情により取扱いが異なる場合がありますので、詳細はお問い合わせください(2026年8月現在の法令に基づく解説です)。

